丹治ひこ太

こだいらまちづくり日記

「消費税が法人税の穴埋めに使われている」という山本太郎氏の主張が腑に落ちない人のための補足

 山本太郎氏は「消費税が法人税の穴埋めに使われている」と主張する。わかっている人ほど「え?」と思う。「消費税って社会保障財源として使われることになったんじゃない」と。
 だから、氏が消費税増税分と法人税減税分が一致しているグラフを見せても、「単に一致しているだけではそう断言することは無理じゃない」と思ってしまう。
 確かに、消費税法1条2項には、「消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか(筆者註:地方税部分があることもお忘れなく。昨日の記者クラブでの氏の会見で、地方の経済的疲弊に対し消費税を地方税のみにしてしまうということは考えていないかという記者の質問は、ここを踏まえている)、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」とある。
 しかし、「消費税と社会保障経費4経費を管理する特別会計は設置されていない」(梅原英治「消費税の「社会保障目的税化」「社会保障財源化」の検討」大阪経大論集第69巻第2号)のだ。
 「目的税化」していても、特別会計化されておらず、一般会計の中に入ってしまっているのだ。他の財源と一緒に財布に入り、社会保障費以外の予算と一緒に支出されている。お金に色はないから、消費税と社会保障費との対応関係はわからない。
 もちろん、消費税で社会保障費がすべて賄えていれば、消費税増税分が社会保障費増加分とならなければならないので、そうなっているかどうかで一応のチエックはできる。しかし、常に不足しているので、現時点では社会保障費に使われているとは言い切れないのだ。
 そこで、山本太郎氏の主張が意味を持ってくる。法人税の減税分と消費税の増税分がきれいに対応しており、つまりは穴埋めに使われているのではないかということだ。それが意図したものでないとしても(少なくとも、財務省はこの一般会計でのどんぶり勘定状態をうまく利用して消費税増税の国民への説得材料としている)、結果としてそうであるならば、間違いなく、法人税を減税しなければ、消費税は増税しなくてもよかったということはできる。
 彼の言っていることは正しい。
※上記、梅原論文はこの点について、詳細に論じている。ネット上でも閲覧できるので、参考にしてほしい。

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