丹治ひこ太

こだいらまちづくり日記

「構造改革」って何?

 「構造改革」という言葉を最初に聞いたのは、左翼的な文脈だった。ところが、いつの間にか、政府自民党までが使う用語に代わっていた。
 デジタル大辞泉には、「構造改革」「1 独占資本主義体制を議会主義の枠内で段階的に変革することによって、根本的な社会改革を実現しようとする考え方。第二次世界大戦後にイタリア共産党のトリアッティが提起した政治理論。」「2 社会が直面している問題を改善するために、政治・社会制度や産業構造などの抜本的な改革を推し進めること。日本では、小泉純一郎政権(平成13年4月~平成18年9月)が「構造改革なくして景気回復なし」「聖域なき構造改革」などのスローガンを掲げて断行した郵政民営化三位一体改革医療制度改革などの一連の新自由主義的な施策を指すことが多い。」とある。
 最近では、すっかり、第一の左翼的文脈では使われなくなり、第二の「規制緩和」を具体的な手段とする新自由主義的文脈で使われている。そして、いまだに、それに期待している多くの人がいる。自民党の2016年参議院選マニフェストにも「成長に資する構造改革」という言葉が並ぶ。
 しかし、小泉、安倍第一次政権下では、いざなみ景気を超える史上最大の景気回復をしたのに、多くの人はそれを実感できなかったということを思い出してほしい。
 仮に、規制緩和構造改革して、景気が回復し、経済成長しても、多くの人は貧しいままなのだ。
 そういう意味で、わたくしたちは、大きな視点で「構造改革」をすべき時が来たのではないだろうか。新自由主義的な構造改革といった小さな改革は「構造改革」という言葉で表現するには貧しすぎる。「構造小細工」に過ぎない。本来の左翼的な意味に近い、いや、それよりももっとダイナミックな「構造改革」が必要となっている。
 たとえば、最近とみに言われ始めている「資本主義の終焉」といったものを前提とした社会構造の改革が必要となっているのかもしれない。
 最近のポピュリズムと言われる投票行動の心の奥底には、もしかしたら、そういうことへの気付きがあるのかもしれない。ただ、その発露の方法は間違えはているが。
 先日、テレビ番組で何気なく、下村元文部大臣が、経済成長を前提としない経済システムについては政党関係なく考えている人がいるという言葉を漏らし、結構驚いた。そういうレベルまで、深いところでは動いているのかもしれない。
 いつ、それが表立った政策となっていくのか、有権者の気持ちをうかがいながら動いていくのだろう。

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