「マッドマックス2 怒りのデス・ロード」が象徴するもの
「マッドマックス2 怒りのデス・ロード」がアカデミー賞を6部門受賞し、日本でもキネマ旬報ベスト10の外国映画部門で1位になった。
4月2日から、立川シネマシティが新たに6000万円超のスピーカーを導入し、極上爆音再上映するらしい。
僕も昨年、妻に誘われ観た。はじめ乗り気ではなかった。確かに、最初のものは傑作中の傑作だと思うが、果たして・・・アート系映画好きを気取る僕としては・・・
が、確かに面白かったのだ。
映像、デザイン、音響はずば抜けていた。しかし、何よりも、そのストーリーに惹きつけられた。
詳細については、実際に見ていただくか、他に譲るとして、印象的だった部分をいくつか挙げよう。
核兵戦争後の世界なのだろう。生活環境が汚染され、生存者達は物資と資源を武力で奪い合い、文明社会が壊滅し、砂漠のような荒廃した世界だ。
「水」を支配する集団。「燃料」を支配する集団がある。この二つの要素は人間社会の基礎的な部分なのであろう。それぞれ、独裁者がそれを管理している。
マックスは、水の集団につかまり、環境汚染で病んでいる住人の供血に利用される。
その集団の軍隊を統率する女性大隊長は、燃料を支配する集団と取引をする任務を任されたのを奇貨として、出産の役割を担わされている女性たちを引き連れ逃亡を計る。
この水の集団では、女性は出産の道具か、搾乳の道具として扱われているのだ。
まさに、女性の活躍推進!
そして、マックスはその逃亡を追う兵士の「血液袋」として車に繋がれ争いに巻き込まれる。
まさに、一億総活躍社会!
彼女らは女性大隊長が生まれた「緑」の地を目指す。
途中、マックスは車から脱出し、女性たちと共闘し、追っ手を追い払っていく。
そして、ついに、大隊長を知る緑の地から来た女性たちと出会う。
しかし、「緑」の地も土壌汚染されてしまってもはや緑の地ではなくなっていることを知る。「緑」の地から来た女性たちの手にはそこから持ってきた植物の球根が握られている。
どうする?
彼女らは戻ることを決断する。「水」を支配する社会を変えるのだ。
当然、追っ手との正面切っての激しい戦いが始まる。
緑の地から来た女性たち、じつはみんな高齢だ。しかし、めちゃくちゃ強くかっこいい。市民活動をするとよく見られる風景だ。
そして、ついに、支配者を倒し、「水」を支配する社会にもどり、「水」を市民に解放する。
市民は女性大隊長を新しいリーダーとして迎える。
マックスはそれを見届け、かっこよく去っていくのだ。おお、ダンディズム。貴種流離譚。
ちなみに、僕はこの映画のせいで突発性難聴になり、病院に行きました。