丹治ひこ太

こだいらまちづくり日記

マスコミの公平性について

 日本の法律では、放送に関し規制をかけ、プリント・メディアには自由な表現活動を保障しています。イギリス・アメリカ型の制度です。放送には、政治的公平性や論点の多角的解明などの番組編集準則の遵守(放送法3条の2、1項)もそうです。

 その根拠として、周波数帯の有限希少性と放送の持つ特殊な社会的影響力(直接性・即時性・強力性)が挙げられてきました。

 しかし、多チャンネル化し、社会的影響力も必ずしも相対的なもので一律に論じられないのではと疑問が投じられています。

 そこで、アメリカ発の部分規制論という学説が有力となっています。憲法学者、故芦部先生もその紹介者で、そのお弟子さんでいまや有名な長谷部先生もこの分野(マスコミ法)を引き継ぐように言われたそうです(朝日新聞の顧問をしているのもその理由です)。

 部分規制論とは、印刷メディアを完全に自由にし、放送だけ公的規制を加えれば、両者の微妙なバランスによって、(ここから芦部先生「憲法」第3版岩波書店171頁をそのまま引用します)「少数者の意見が放送に取りあげられたり」、放送に対する過度の規制が抑制されたりして、充実した思想の自由市場が確保されるという考え方です。

 もし、そうであるならば、放送における公平性とは少数意見を取り上げることにあるということが基本原則だと思います。政府=選挙による多数意見ですから、放送においては特に、政府の意見を多く取り上げる必要はないことになります。

 

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