漱石の「こころ」
この前の「巨匠とマルガリータ」の話のついでに、今回は純粋に文学の話を。
朝日新聞に「こころ」が百年ぶりに連載されました。漱石作品の中ではあまり好きではなくご無沙汰だったので、この機会しかないかと再読しました。
学校教育による、読め読め圧力のせいで中学時代ごろから漱石は読んだけど、ぴんと来なかった。古臭い・・・と。
初めてぴんときたのは、実は、卒業し、森田芳光の映画「それから」を観て。『代助は自分だ』と(大学時代の同人誌で、友人が「みんなダイスケ!」という一行だけの小説を書いたやつをすごいと思い返しました。・・・オールナイトフジを知っている方はパロディってわかりますよね)。
それから、漱石を読み返して、大好きな作家の一人に。でも、この「こころ」だけはなぜか好きなれなかったです。
で、久しぶりに読みましたが、強烈な疑問が・・・。この先生って死んでないんじゃない?この小説のどこを読んでも客観的に死んでるって出てないのです。死にますと手紙にだけ。私があわてて東京に戻ったら、「死ぬのは辞めました」なんてひょっこり出てきそうな気がするのです。その方が先生らしいような・・・。
そう思うと、明治の精神とともに死んだとかそういう論争がどうなのかなと思えてきました。